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S.SCHMIDT(S.シュミット)ピアノの調律、修理 [ピアノ調律]

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S.SCHMIDT の小型アップライトピアノの調律。背が低くコンパクトなサイズのピアノで、このタイプのS.SCHMIDTは今でも時々お目にかかります。外国製っぽいネーミングですが、日本ピアノ製造による国産ピアノ。オーナーの方はドイツ製と思っていた模様。特に製造に関して聞かれなかったので、今回はあえて国産であることはお伝えしませんでした。夢は壊したくないものです...

この S.SCHMIDT は、もう長いこと調律を含むメンテンナンスをされることなく放置されていたのですが、お客様がまた使いはじめるという事で復活させる事に。鍵盤を端から打鍵し音を確認していくと非常に抵抗感のあるタッチで、またほぼ全音域で、一度音を出すと次の音が出ない状態...ハンマー行ったら最後戻って来ず、ジャックは手前に倒れたまま。どうやら大方のフレンジがガチガチのスティック状態となっている模様。音色もハンマーの硬化等で安っぽい音色になってます。このままでは演奏はもちろんのこと、調律作業も到底出来ませんのでその旨お客様にお伝えしたところ、「やっぱりそうですよね(笑)」との事で、預かり修理となることはお客様も想定済のようでした。ピアノ内の清掃だけ済ませていったんアクションをお預かりする運びに。この日は大した作業もしなかったのですが、豪勢な食事でもてなして頂いてなんだか申し訳ない気分に...しっかり修理します!

納品からの年数やこれまでのメンテンナンス状況、環境(多湿)を考えると、センターピンは今回全て交換しておく事にします。

バットフレンジのセンターピンを全て交換。
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バットスプリングもすっかり元気がないので交換。
一部ブライドルチップも交換。
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ところどころバットフレンジコードも切れていたので
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交換。
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バットフレンジコードはヤマハのアップライトでは定番ですが、それ以外のメーカーでも使用状況や環境によっては劣化等により切れます。要チェックです。

ジャックとウィペンのセンターピンも全て交換。
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猫はZzz...
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ダンパーのセンターピンも全て交換。ガチガチの状態、こりゃ弾きにくい訳だなぁ。
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ダンパーレバースプリングもへたっているので交換。ダンパーロッドとダンパースプーンも磨き直しておき可動部の抵抗は出来る限り取り去っておきます。
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出来上がったアクションをピアノに戻し、ようやく調律調整作業に入れます。
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ハンマーはファイリング済。とりあえずピッチ下がりまくりの為、下調律+本調律に浚い直しでどうにか引き上げます。下がりまくったピッチを標準音高に戻すだけでも結構な時間がかかります。残りは鍵盤調整と目立った整調工程と若干の整音を時間の限り手を入れます。
どうにか普通に弾ける状態までは終わらせて、試弾、試弾...
いいです!非常に弾きやすいです。ヌルヌル動きます。修理中に想定していた以上に弾きやすく仕上がっていて、これなら何時間でも弾いていたくなります。S.SCHMIDT  、こんなに良いピアノだったんですねー。小型アップライト特有の弾きにくさもあまり無いですし、ハンマーにはあらかじめpianohaus さんの softener を施工しておきましたが、これもいい塩梅に効いています。softener も大分使い慣れてきてコントロール出来るようになってきました。この S.SCHMIDT 、今どきの新品小型ピアノのような陳腐な感じはせず、もちろん低音のずっしり感は足りませんが、全体としては非常にリッチな音が鳴ってます。ダンパー総上げのばらつきや細かな調整で気になるところがまだまだありますが、時間の関係で残りは引き続き次回以降の定期調律で追い込んでいく事とします。繰り返し調律していくことで音律も安定してくるでしょう。まだまだ良いピアノになりそうで、今後、定期調律にお伺いするのが楽しみです。

今後これ以上の湿気を吸わせたくは無いのでダンプチェイサーを取付けておきました。
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