バランスキーピン交換 [ピアノ調律]
ヤマハのアップライトピアノ U3H の調律で
次高音のバランスキーピン9本ひとかたまりが
酷く錆びていたので交換しました。
錆びたバランスピンを外します。
言わずもがな、右側が新しいバランスキーピンです。
新しいピンを打ち込みました。
この他に、中音ブラケット近辺で
同じように3本が錆びていたので
計12本のバランスピンを交換しました。
このような錆び方をする場合よくあるのが
一定期間ピアノをまったく使用しない時期があり
且つ湿気の多い場所に置いてあると
金属と木部が触っている箇所が極端に錆びていたりします。
鍵盤押えのネジも木と金属が触れ合っているので
錆び付いているものを見かけます。
木部が帯びた湿気を金属パーツが受けたり
密着している部分は湿気が溜まりやすく錆びやすいようです。
10年、20年まったくピアノを使用していなかったり
長年調律していなかったピアノの場合
そのまま使い始めると、正常な部分まで
痛めてしまう事がありますから
不具合は全て修理しておきたいところです。
消音ピアノユニットの取り外し [ピアノ調律]
ベーニング(behning)ピアノ(アサヒピアノ)の調律に伺いました。
購入時に後付けの消音ピアノユニット(テクニクス製)を
取り付けてもらったそうなのですが
この販売店の消音ユニットの取付けが上手くなく
鍵盤のタッチがフニャフニャになっていました。
お客様もこの変なタッチに不満があるとのことでした。
その為、以下をご提案さしあげました。
- 消音ユニットの取付けをきちんとやり直す
- いっそのこと消音ユニットを取り外す
お客様曰く、現在は遅い時間に弾く事もないので
取り外して欲しいとの事でしたので
消音ユニットを取り外すことにしました。
現状の問題点の一つは
ダンパーの掛かりがあまりに遅過ぎることで
通常、打弦距離の 1/2 程でダンパーが掛かり始めるよう調整しますが
後付け消音ピアノユニットの消音バーの前後位置が
奥側(弦側)に寄り過ぎているために
ダンパーが動けるスペースがほとんど無くなってしまった為
仕方なくダンパースプーンの掛かりをぎりぎりまで遅くして
対処していたようです。
これは本来は、アクションのブラケットを削り
消音バーをもっと手前に取り付けてあげると
この問題は解消されます。
問題のもう一つは
消音時のストッパーが手前に倒れ過ぎていて
これを回避するために、レットオフを10mm近くまで
極端に広くとってしまっている点で
これも腰抜けなタッチの原因となっていました。
調整を詰めていけば、レットオフはこの半分くらいに
することが可能ですが、消音ユニットを外せば
理想の値で調整可能となります。
消音ユニットは消音バー(ストッパー)で
ハンマーシャンクを止める関係で
レットオフをどうしても広くとらなければならず
家庭のピアノでは、季節変化も考慮し
余裕を持ってレットオフを広げておかないと
ハンマーシャンクが折れることが懸念されますから
どうしてもレットオフが広くせざるを得ません。
レットオフは本来3mmから2mmくらいになります。
取り付けてあった後付けの消音ピアノユニットを外しました。
一時代を築いたテクニクス製のユニットです。
現行のコルグの消音ユニットの前身になり
コルグのユニットより音は良いです。
取り外した消音ユニットは保管しておいて頂ければ
またユニットを使いたくなった時に再度取り付けが可能です。
消音ユニットの取り外しついでに
ピアノの裏側を掃除していたら
楽譜等が出てきました。
消音ユニットを取り外し
本来のアコースティックピアノになったところで
レットオフを基準寸法に直していきます。
スプーンの掛かりもきちんと 1/2 に戻してやります。
併せて鍵盤のウェイト調整も見直しておきました。
消音ユニットの雑な取付で、おかしなタッチになっていた
ベーニングピアノですが、邪魔なユニットを取り外し
普通の調整に戻してあげるだけで
大分しっかりしたタッチのピアノになりました。
誤解する方がいるといけないので...
今回は消音ユニットを取り外しましたが
正しく取り付けた消音ユニットは
そこまでタッチに影響することはありませんので念のため。
このピアノはまだ気になる部分がいくつかあるので
次回以降、手を入れていく必要がありそうです。
鍵盤のバランスホールが広がり過ぎていて
弾くたびにバランスホール付近からカタカタと雑音が出ています。
次回、バランスホールを小さくするか
バランスキーピンをもう少し太いものに打ち替えてやると良さそうです。
それと2006年納品のピアノなのに
早くもバットスプリングがへたっていて
錆もみられました。
触ってみると、もともと付いているスプリングが
頼りなく弱々しいスプリングなので
これも順次交換してやると良さそうです。
ついでにフロントパンチングクロスを
もっと硬くしっかりしたものに交換してあげれば
よりしっかりしたタッチになりそうです。