ディアパソンピアノのスティック修理など [ピアノ調律]
【還ってきた最低音「ラ」】消音ユニットを取外し本来のピアノに戻す [ピアノ調律]
ヤマハのアップライトピアノ U1A
(製造番号8万番台で昭和32年製)の調律にお伺いしました。
ちょうど10年前から調律に伺っていて
10年間きっちり半年ごとに調律なさっているので
20回くらいは調律に行っている事になります。
10年前に初めて伺った時に、
自宅に置きっぱなしになっていたピアノを
また使いたいというのが、調律するきっかけでした。
その時に、消音ユニットも同時に取付けたのですが
10年経って、今はまったく消音ユニットは使ってなくて
アコースティックでばかり使っているという事でしたので
お客様と相談の上、いらなくなった消音ユニットを
取り外してしまう事にしました。
まったく使わない消音ユニットを
付けたままにしておくメリットが無いからです。
今回、消音ユニットを取り外すことで
・鍵盤下の光センサーのアクチュエーター周りで出る雑音が無くなる
・レットオフ(ハンマー接近)を理想的な寸度に戻せる
・ハンマーストップを理想的な寸度に戻せる
・このピアノ限定ですが、最低音1Key(A)の音が出るようになる(笑)
・毎回の作業性が上がる
等、いい事がいっぱい。という訳で取り外しました。
このピアノはアクションの低音部ブラケットと
1Key(A)との間がほとんど無かったので
当時、最低音のハンマーを1本外して
ユニットの低音部軸受けを付けたのです。
そのため消音時は一応音が出ますが
アコースティック時は、最低音「ラ」が出ない状態でした。
お客様には一時的に外した最低音のハンマーを
大切に保管しておいて頂いてたので
今回それを元通り取付けて、晴れて最低音「ラ」が出るようになりました。
半年ほど前に、低音部の鍵盤あたりに
お酒かなにかをこぼしたと連絡を頂いて
その時は、外装と鍵盤の外し方を教えて
すぐに拭き取り、乾燥させておいて頂いたので
鍵盤や鍵盤下の棚やキーピン等は特に問題ありませんでした。
が...
消音ユニットの音源ボックスを外してみたら
写真のような酷い事になっていました。
こんなところにお酒が入り込んでいたとは...
もちろんこの音源は、既に電源すら入りません。
ですがお客様はこのところ
まったく消音ユニットを使っていなかったので
壊れている事すら気付かなかったそうです。
消音ユニットの部品を全て外しました。
テクニクスの音源ボックスは
台座とべったりと固着してしまうので
外すのが大変です。
光センサーにアクチュエーターのあるこのタイプは
どうしてもアクチュエーターと鍵盤底面の接点や
アクチュエーターの支点付近から雑音が出やすく
うまくありません。
後継機のコルグは、初期は同じ使用でしたが
現行のものは鍵盤とセンサーが非接触になっています。
ただ音だけはコルグのものより
このテクニクスのもののほうが好きです。
ユニットさん、長い間お疲れさまでした。
消音ユニットを外してから
整調を全て見直しつつ整音も少し手を入れて
(今回はハンマーに少し硬化剤を使用)
概ね予測していた通りに
ピアノが目一杯能力を発揮するようになりました。
消音ピアノユニットは
必要に迫られてる方はもちろん取付けて
便利に使って頂いて構わないのですが
必要が無くなった時は
ユニットを付けたまま使い続けるよりも
外してしまったほうが
ピアノにも弾き手にもメリットが多いです。
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