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弾きにくい小型グランドピアノの調整 [ピアノ調律]

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今回はヤマハC1の鍵盤鉛調整。

C1やC2等の鍵盤長の短い小さいグランドピアノをご使用のお客様から良く言われるのが「タッチが重い」「鍵盤が硬い」「鍵盤を押し込まないといけない感じ」等といった不満。今回調整したC1をお使いの中2のお嬢さんも同様に鍵盤タッチが重いとのことでしたので、鍵盤のウェイト調整を行うことになりました。現状では Down Weight が55gから60gかもう少し。Lift Weight が35gから40g超え。強過ぎるLWが弾きにくさにつながっている印象です。

 

今回の作業に備え、先月までにキーピンの磨き直し等の稼動部のロスを無くす作業を終えています。

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製番550万台で平成9年納品ですから、ピアノとしてはさほど古い部類には入りませんが、それでも10年以上経過していますので稼動部の金属部品には滑らかさが失われています。稼動部に余計な抵抗があると正確にウェイトが計れませんので、これらは事前に済ませておかなければなりません。

 

鉛調整に入る前に、今回は鍵盤奥側のキャプスタンをヤマハ純正品(シルバー)からスタインウェイ純正品(金色のほうです)に交換しました。

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注目すべきは頭の形状で、ヤマハは平たくスタインウェイのそれは丸みを帯びています。この形状の違いが地味に弾き心地に影響してくる訳です。

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ウィペンのクロスに付着した古い黒鉛や潤滑剤が気に入らないので薬品を使い落としました。

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1鍵ずつ鍵盤が降りる重さと上がるときの重さを計っていき鉛を追加する位置を決めます。

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今回は貼付け式のタッチ調整鉛を使用しました。

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全体にこのような位置に配置されました。

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もともとLWがかなりあったので、DW値をスタインウェイ並みの40g台後半にしてもLWもしっかりとれて、貼付け式の制約もありましたが全体のバランスは上手くまとまりました。低音から高音にかけてDW53gから47g、LWは低い方が24g、最高音部にかけて29g(多少誤差あり)になりました。作業後さっそく娘さんに試弾していただくと、「弾きやすい!」「指を置くと自然と鍵盤が降りる!」とのことで、本日の作業に合格点を頂きました。

 

小型のグランドピアノをお使いの方で心当たりのある方、時間をかけてきちんと調整すると俄然弾きやすくなります。


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【Movie】PIANOMANIA [ピアノ調律]



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・シネマート六本木 4/27(金)まで
・下高井戸シネマ 5/12(土)から5/18(金)まで

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学校関係の調律で...|渡辺ピアノ調律事務所 [ピアノ調律]

いつでも、どんなピアノでも、真面目に調律に取り組んでいて良かった...という出来事がありました。

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こちらの高校にはもう何年も定期的にピアノの調律にお伺いしていたのですが、昨年いきなり「相見積をとった結果、渡辺さんより安いところがあるので今回は...」と。学校関係や箱物施設では複数相見積をとって、とにかく安ければオッケー!といった感じでそこに発注するという方式がとられることは珍しいことではありませんので、ふーんそうなんだと、その時は特に何とも思わなかった訳です。で、今年になってその高校の方から連絡があり「すいません、やっぱりまた調律お願いしたいのですが...」と。どういう事か話を聞いてみると、昨年頼んだ安い調律は、仕上がりが今一で...音楽の先生も渡辺さんの仕事のほうが細やかで良かったと...」だそうです。仕事の違いに気付くいいきっかけになったのですから、一度安いところに発注したことも無駄ではなかったでしょう。モノ(例えばテレビでもパソコンでもなんでもいいですが)であれば、どこで幾らで仕入れようが手にするモノ自体はまったく同じものですから、少しでも安い方がいいのは言うまでもありません。が、ピアノの調律は人間が行う「技術」、「腕」ですので、作業する人間が変われば仕上がりもまったく違うんですよね。当たり前のことを忘れておられる方が意外と多いです...気付いた人から幸せになれます。かくしてまた今年からこの高校のピアノの調律に伺う事になりました。費用のほうは、その安い調律業者の値段ではなく、私がもともと承っていたときのプライスでいいそうです。

こつこつと正直な仕事をしていれば、見てくれている人は必ずいるという事です。

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moving in the right direction.


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Steinway Metronome [ピアノ調律]

知らぬ間に、スタインウェイから iPhone 向けのメトロノーム App がリリースされていました。
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仕上げの木材も選べてなかなか美しいです。
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シンプルでなかなか良い感じです。ただ、現在までのバージョンでは、bpmを200前後以上に上げていくと暴れてしまうバグがあるようです。

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年末年始のお休みのお知らせ [ピアノ調律]

年末年始休業日のご案内
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誠に勝手ながら
12月30日(金)〜1月3日(火)までを休業とさせて頂きます。

休業期間も「お申し込みフォーム」からピアノ調律・修理のご予約は受け付けておりますが、こちらからの返信は、1月4日(水)以降となる場合がございます。皆様にはご不便お掛けいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

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Blue Christmas [ピアノ調律]

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キンボール(kimball)ピアノの調律・修理 [ピアノ調律]

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kimball(アメリカ製)のアップライト、アクション及び鍵盤のお預かり修理、調律、調整です。40年以上経過しているとの事で、予想はしていましたがハンマー、ジャック、ウィペン、ダンパーの多くにスティックが見受けられる状態でした。併せて鍵盤のブッシングクロスもすり減っていたのでこれもアクションといっしょにピックアップさせて頂き、まずはこれらの修理からです。

ハンマーバットのセンターピンを全て交換します。
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右上の長い方が新しいセンターピン、左隣のが40年以上経過したセンターピン。分かりにくいですが古いほうは表面がくすんで錆び、フレンジの回転運動の妨げとなりますので交換しておきます。

古いブッシングクロスは接着が切れていてポロっと取れたりします...交換です。
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センターピンを保持しているこの赤いブッシングクロスの両端のトルクを左右均等且つバットに最適なトルクとなるようリーマーで調整していきます。リーマーの削りかすが残らないようエアーでしっかり飛ばしておきます。

バットスプリングも弱っているようで、少し触っただけで折れてしまいました...交換です。
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バットスプリングはピンコードを通して保持。
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革のブライドルチップも大分劣化...
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ブライドルチップも全て交換する事に。形が元の物と同じになるよう型抜きしておきました。
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バットフレンジのいくつかに割れが見られました。
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接着剤を圧入。
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コーヒーブレイク。
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ジャックフレンジの現状。センターピンがずれて右側に飛び出しているのが確認出来ます。
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ウィペンのセンターピンもずれて飛び出し、反対側はブッシングクロスが飛び出してます。
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ジャックとウィペンのセンターピンを交換。
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こつこつ全て交換します。適正なトルクを意識しながら慎重に作業します。フレンジの木と木の接点も要チェック。
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各フレンジのセンターピンを交換している中で、時々とんでもなく太いセンターピンが入っている箇所がいくつかありました。
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このピアノは #21 なのですが #23 が無理矢理使われている箇所が。これは以前誰かが打ち替えたことは想像に難くないですが、これは無いなぁ...

ウィペンヒールクロスも古いものを剥がして
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全て交換。
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ダンパースプーンも研磨しておきます。左が現状、右が研磨後になります。
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ダンパーフレンジのセンターピンも交換。現状ではかなり抵抗があり、これはタッチを相当重くしていた筈。
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ダンパーレバークロスにスプーンの跡がくっきりと。これも交換です。
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古いダンパーレバークロスを残らず奇麗に剥がして、
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新しいレバークロスに交換。
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こつこつと全て...
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交換です。
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何か変なダンパーレバースプリングが。換えられているようですが先端がはみ出してます...
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修正しておきました。
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くすんだダンパーロッドは雑音の原因や動作の妨げに...
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磨き直し。
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次高音から上のダンパーが効かないとお客様が仰っていたのですが、原因はダンパーロッドを保持している部分のクロスのへたりが主で、ぶかぶかの状態の為動作不良。クロスの交換です。
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Today's BGM
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土岐麻子嬢のソロになりたての頃のヴィレッジヴァンガードでのLive。大石学さんのフェンダーローズのみで唄ってます。高音キーの不調をものともしない大石さんのピアノも素晴らしいですが、まだcymbals臭の抜けきらない土岐さんのあっさりした歌い方が良い感じ。

ハンマーの弦溝もなかなかの状態。
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ファイリングしておきます。
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鍵盤のバランスブッシングクロスもすり切れていました。
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フロントブッシングクロスも同様にすり切れ。
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新しいブッシングクロスと交換です。
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スチームで剥がしていきます。
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全て剥がしていきます。
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全てのブッシングクロスを交換
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事務所の3Fで一休み。
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キャプスタンの頭も研磨しておきます。
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少しでも余分な抵抗を無くしたいですから。左が研磨後、右側が研磨前です。

鍵盤の張り合わせの部分が少し開いていました。
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接着剤圧入。
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いわゆるアメリカ的仕事ですね...
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スベスベに研磨しておきました。
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猫の最終チェックを受けOKを貰いました。
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「パンチングクロスonパンチングクロス」!斬新ですね...おまけに虫害が酷いです。
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フロントも虫害。
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全て取り払って
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新しいパンチングクロスに交換。
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調整作業をしている間に上前パネルの剥がれたところを接着しておきます。
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美しいキンボールのデカール。屋根内側なので焼けがないですね。
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こちらのお宅には状態の良いチェンバロもあります。
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下調律と本調律でなんとか止まりました。
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音色のほうもキンボールの良いところが出てきたように思います。ただこのピアノ、整調が相当荒れているので引き続き今後の定期調律で整調を根気よく見直していく必要がありそうです。調律3回目くらいには、大分本調子になるかなと思います。

キンボール(kimball)ピアノの調律・修理@東京都三鷹市

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ヤマハグランドピアノG2Dの調律 [ピアノ調律]

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事務所でのアクションの修理作業も一段落したら風邪をひいてしまったようです。ひきこもって作業していると、外での調律は息抜きにもなって良いです。ヤマハのグランドピアノ(G2D 製番70万台 2本ペダル)の調律に伺いました。昭和43年納品のピアノですが、最低一ヶ月に1回は調律している為(一般家庭ではないので調律の頻度が高い)、状態は安定していて、狂いは多くてもせいぜい+-4cent以内の事が多いです。ピッチがきわめて安定している時は、整調、整音等に多く時間を割く事が出来ます。外装も時間のあるときにこつこつ磨いているので写真のようにピカピカです。調律を含むメンテナンスを欠かさないことが、ピアノにとって大切です。手を入れた分だけピアノは答えてくれます。

 

窓からは都会の真ん中とは思えない景色が。

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グランドピアノの屋根に紅葉が映り込んで奇麗です。

 

ヤマハグランドピアノG2Dの調律@東京都港区


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kimball(キンボール)ピアノの修理 [ピアノ調律]

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連日、kimball(キンボールピアノ、(アメリカ製))のアクションや鍵盤の修理を進めています。ドイツ在住のピアノのオーナーさんが次に日本に戻って来るまでに仕上げておく予定です。詳細は後日あらためてアップしようかと思います。
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